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しょうもない日々
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正直に言おう。
働く事が嫌いなわけではない。忙しいのも結構だ。
ただ、年度末を迎えるこの季節、若干業務が多過ぎる気がしないでもない。
最近は、恋人と睦み合う機会どころか、一緒に食事もしていない。
会社と家の往復のみの毎日。
サービス残業をこなすわたしを尻目に、可愛い可愛い恋人はさっさと帰社してしまう。
アンタが忙しいこの時期に、羽を伸ばさせてもらうぜなどと、憎らしい事を言いながら。

バルフレアが、誰かとデートをする日はすぐわかる。
頻りにネクタイの結び目をいじりながらやけに軽い足取りで帰っていくのだ。
今日もネクタイを直し、手ぐしで髪を整えながら鼻歌なぞ歌っているバルフレアをトイレで発見した。
楽しそうだな、と嫌味たっぷりに声を掛けたら、
アンタ眼の下隈になってる、すげぇ老けて見えるぜと哂われた。
余計なお世話だ。老けて見えるのではなくて、実際歳なのだからしょうがない。
エレベーターホールまでついて行き、見送ろうと思ったのに
そんな暇あんなら書類の一枚も片付けろ、と尻を蹴られた。
……もしかしたら、恋人と想っているのはわたしだけなのだろうか。
振り返り振り返り、自分の部署に戻るこちらを、バルフレアは見向きもしない。

ひとときでも長く、愛する人の姿を見るのも許されないのか。
今頃彼はどこで誰と何をしているやら。
明るい色のネクタイをしていた…華やかな女性と食事にでもいったか。
いや、そう言えば何か包みを持っていた…大切な人の誕生日でも祝うのか。
いやいや、銀行に行くの忘れた、まぁいいかと呟いていた…金持ち紳士との逢瀬か。
いやいやいや、それにしてはネクタイが派手すぎる…あいつか?いつか見かけた黒塗りテカテカの車でバルフレアを会社まで送ってきた、あの胸毛の男か?

まったくこの時期は忙しすぎて、業務がちっとも終わらない。
ふらふらになりながら、なんとか家に辿り着く。
食事の事をすっかり忘れ、手ぶらで帰って来てしまった事に、
玄関の前で気づいたが、もういい。
風呂に入って寝てしまおう。
そう思いながらドアを開けたら、
「遅い」
不機嫌極まりない顔のバルフレアが立っていた。
「なんだよ毎日こんな時間まで会社にいんのか。
いい加減上手くやれ。
自分の身を削るような真似はやめろ、こっちが迷惑だ」
低い声で文句をいう彼に、わたしは嬉しさのあまり言葉が出ない。
ただただ名を呼び抱きしめる。

「いいから、靴脱げ」
少しだが優しくなった声で、バルフレアは全身で彼にしがみつくわたしの頭を撫ぜてくれた。
「メシまだだろ」
そう言って、彼が得意げに指差したテーブルの上には…カップラーメンが2個乗っていた。
そうか、あの包みはこれだったのか。
2個ということは、わたしの帰りを待っていてくれたのか。
今日はオレに任せろと、バルフレアがお湯を沸かし、ラップを破り調味料を入れて3分間測ってくれた
有り難ーいカップラーメン様を二人一緒に食べながら、幸せだ、としみじみ想う。
こういうモンって、こんなに美味しかったっけ?と目尻を下げて笑いかけるバルフレアの顔が、
湯気と涙でぼんやりと霞んで行く…。

「メシの途中で寝ちまう程働くなんて、ほんとアンタって何でも全力出し過ぎだ」
仕事より、オレに全力向けてくれ。
ちょっと拗ねたようなバルフレアの声が微かに耳に届く。
そうか、キミも寂しかったのか…。
気付いてやれず、すまなかった。
でも、今はこのまま寝かせてくれ。頼む。
疲れたから、ではない。

この幸せな気分のまま、夢の世界に連れていって欲しい。



あのですね、わたくし明日から3日間連続飲み会なので、
多分お休みさせて頂きます。よろしくお願い致します。

上のお話ですが、勿論モデルがいます、誰とは言いませんが。
もしかしたら、どっかのおばちゃんが日々の激務に負け、
ついに自分をバッシュに見立て現実逃避を始めた、のかも知れません。


 






 

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